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第15回 就業規則の正しい導入方法 <最終回>

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2011.02.28)

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就業規則の正しい導入方法

 就業規則に必ず記載すべきこと

就業規則には、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」があります。

「絶対的記載事項」とは必ず就業規則に記載しなければならない事項です。具体的には次のような事項です。

  1. 始業・終業の時刻
  2. 休憩時間・休日・休暇に関すること
  3. 労働者を2組以上に分けて交代就業させる場合における就業時転換に関すること
  4. 賃金の決定・計算および支払方法
  5. 賃金の締め切りおよび支払の時期に関すること
  6. 昇給に関すること。
  7. 退職(解雇)に関すること

一方で「相対的記載事項」とは、制度がなければ記載しなくてもよいが、制度を定めるときには必ず記載しなければならない事項です。具体的には次のような事項です。

  1. 退職手当の決定、計算及び支払の方法、時期に関すること
  2. 臨時の賃金および最低賃金に関すること
  3. 労働者の食費、作業用品その他負担に関すること
  4. 安全衛生に関すること
  5. 職業訓練に関すること
  6. 災害補償及び業務外の傷病補助に関すること
  7. 表彰および制裁の種類及び程度に関すること
  8. その他全労働者に適用される定めに関すること

「任意的記載事項」とは労働基準法上の規制は無く、書かなくても良い事項です。経営理念などです。

意見書に署名をするべき社員代表とは?

就業規則の提出に際しては、就業規則とあわせて、「就業規則作成(変更)届」および「社員代表の意見書」を添付します。

社員代表とは、社員の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働組合が無い場合は、社員の過半数を代表するものとなります。社員代表は、本社や支社、工場など事業場ごとに選出することとなります。しかし、選出方法を間違えた状態で提出された意見書は「無効」となる恐れがあります。

社員代表は次の条件を満たしていなければなりません。

・ 労働基準法第41条に規定する管 理監督者ではないこと。

管理監督者は経営に近い立場と見なされ、社員代表として不適格とされます。管理監督者の法的定義はあいまいです。一般的に部長や工場長などの社員は除外することが無難です。

・就業規則について社員を代表して意見書を提出する者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること。

選出方法の例として、全体朝礼や就業規則社員説明会などの場における挙手や投票などによる選出が挙げられます。また、メールによる選出も、意見書に署名をする社員代表を選出する旨を明らかにして実施すれば法律が求める要件に合致します。

会社側の一方的な選出は認められません。また、親睦会の会長を自動的に社員代表とする方法、あるいは総務課長を自動的に社員代表とする方法も認められません。

法律で定める条件を満たしていない社員代表による意見書は無効となります。つまり、無効である意見書を添付した就業規則も無効となる可能性は極めて高くなります。過去の労働判例においても、就業規則の有効性には正しい意見書の存在が要件であるとしているものがあります。

就業規則は必ず社員に周知させる

労働契約法において、労働条件としての就業規則が有効となる要件として、「社員に周知されていること」と明記されました。つまり、社長室の本棚に眠っているような誰も知らない就業規則は無効であると法が定めたわけです。

法律で定める周知方法として、

  1. 常に見やすい場所へ掲示する
  2. 社内ネットワーク内の共有フォルダなどに書き換えできないファイルとして保存し、誰でも見られる状態にする
  3. 社員全員に書面で配布する

としています。

なるべく1.または2.での周知方法で検討してください。より具体的に内容を周知させたいということであれば3.の方法も検討できますが、社外への流出リスクが高まる点を念頭に置かなければなりません。

就業規則を会社側が一方的に変更することは可能か?

新たな就業規則の作成または変更によって社員の既得権を奪い、不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されないとされています。過去の労働判例においても、社員の同意を要件としています。

しかし、「変更内容が合理的」であれば、事業場全体の労働条件を画一的に決定するという就業規則の性質を踏まえ、会社による一方的な変更も可能であるという判例も出ています。この内容は労働契約法にも記載されました。

「合理的」とは次の要素を総合的に勘案して判断されます。

  1. 労働者が受ける不利益の程度(賃金カットの割合など)
  2. 労働条件の変更の必要性(変更しないと会社業績に多大な支障がある)
  3. 変更後就業規則の内容の妥当性(一般常識の観点で受け入れられるかどうか)
  4. 従業員への説明状況(労働組合や社員代表との交渉状況など)
  5. 代償措置(賃金カットの代わりにリフレッシュ休暇の設定)

このような就業規則の一方的変更に関する合理性判断の基準は存在するものの、実務上は不利益変更の際には紛争の未然防止の点で、労使間で合意をとることを意識してください。

せっかく作成した就業規則も、提出方法やその後の管理状況によっては、全く魂の無い就業規則になってしまいます。正しい導入プロセスを経て、魂の入った新しい就業規則の下で会社の成長を目指していきましょう。

(おわり)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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