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第12回 服務規律で職場風土を改善〜その2

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2011.02.07)

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服務規律で職場風土を改善 その2

労働時間中は業務に専念すること

社員は会社との雇用契約の締結により、与えられた業務に専念するという「職務専念義務」を負うことになります。
経営者から見れば常識的な認識です。ただ社員からすると、この認識は日常業務の中で希薄になります。
服務規律において、「労働時間中は真剣かつ本気で業務を行う」姿勢を会社が打ち出しましょう。

<規定例>

  • 社員は、業務上の指揮命令を遵守し、自己の業務に専念し、作業能率向上に努め、互いに協力して職場の秩序を維持しなければなりません。
  • 勤務時間中は、定められた業務に専念し、所属長の許可なく職場を離れ、または他の者の業務を妨げるなど、職場の風紀・秩序を乱してはなりません。
  • 業務中に私用の携帯電話を使用してはなりません。

「セクハラ」「パワハラ」対策

男女雇用機会均等法では、セクハラ行為者に対し、厳正に対処する旨の方針、対処の内容を就業規則に規定し、周知徹底することおよび相談窓口をあらかじめ設けることなどを義務化しています。

セクハラ行為は、加害者と被害者の問題のみならず、その問題を軽視し十分な配慮を怠った場合は民事上の問題にもなり、会社の使用者責任を問われた裁判も起きています。

セクハラ同様、昨今ではパワーハラスメントの問題も表面化しています。上司からのパワハラを受け、精神疾患を負ったことによる労災認定数も増加しています。

会社を守るには、就業規則で違法行為者に対し厳正な処分を実施する姿勢を打ち出し、社員のモラル意識を高めることが重要です。

<規定例>

  • 職場においてセクシャル・ハラスメント(以下、セクハラ)と判断される相手方の望まない性的言動により他の社員に不利益や不快感を与えることは、職場のモラルや秩序を乱し、働く従業員のモチベーションを下げる要因となります。社員は、いかなる場合でもセクハラに該当すると判断される行動等や性的いやがらせに当たる行為を職場または業務に関連する場所において絶対にしてはなりません。
  • セクハラを目撃した社員は、総務部の担当者に届け出てください。会社は秘密を厳守します。また、届け出たことに対する労働条件の不利益な取り扱いはしません。
  • セクハラに該当する行為を行った社員は、本就業規則に定める制裁事由に基づき、その程度や状況、行為回数、反省態度その他事情を考慮し懲戒処分を実施します。またセクハラに当たる行為に加担したと、状況において判断される社員も同様とします。
  • 会社はセクハラの相談を受けたときは、速やかに事実関係の調査に着手し、セクハラに当たる行為か否かを慎重に判断し、申立者である社員が申立後も性的被害を受けないように対処します。また、事実関係の調査、確認に協力した社員に対し、労働条件の不利益な取り扱いはしません。

メールや携帯電話のチェックを可能にする

社内メールやインターネットの私的使用は業務効率やモラルに影響します。会社としては定期的に監視や点検をしたいところです。ただ、服務規律など規程に記載がない場合、監視や点検の方法によっては「プライバシー権の侵害」として不法行為とされる可能性があります(日経クイック情報事件 H14.2.26 東京地裁など)。
メールなどの定期監査をトラブルなく実施するには、その旨を規定し、社員に周知させることが重要です。

【規定例】

  • 社員は、会社が貸与したパソコン、携帯電話等(以下「電子端末」という)を業務遂行に必要な範囲で使用するものとし、私的に利用してはなりません。
  • 会社は、必要と認める場合には、社員の承諾がなくても社員に貸与した電子端末内に蓄積されたデータ等やメールを閲覧する事ができます。

口ひげや社内恋愛禁止などの規律

服務規律は、具体的に記載することと申し上げましたが、一方で際限なく規定できるわけではありません。服務規律は、あくまで企業秩序の維持が目的であり、プライバシーや私生活など社員の人格や自由との調和が求められます。会社は社員を生活先般まで含めて支配できません。服務規程によって社員を管理したいとしても、業務運営上の必要性もなく不必要に人格や自由を制約することはできません。

例えば、服務規律に「口ひげはやめましょう」と記載します。しかし、社員がその規定を無視し、実際に口ひげを生やしたことで懲戒処分を実施するには、口ひげを生やすことが企業秩序を乱し、業務運営上規制が必要であることが必要です。

過去の裁判例で、ハイヤー会社の社員が口ひげを生やして乗務することに対し、裁判所は以下のように判決しています。

「禁止する口ひげとは「無精ひげ」や「異様な口ひげ」などお客様さまに不快感を与え、サービス低下を招く恐れのあるひげであり、口ひげ全てを規制できない」(イースタン・エアポート事件 S55.12.15 東京地裁)

社内恋愛も同様の考え方です。あくまで社内恋愛の事実が企業秩序を乱すかがポイントになり、プライベートを含め全般的に規制することは困難です。

ルールとして設定できる場合と考えられるのは、就業時間中のメールや電話などによる恋愛行動です。また、就業時間外であるが会社施設内での恋愛行動も、会社には施設管理権を有していることを踏まえると、禁止できるものと考えます。

服務規律に違反した場合

服務規律自体では懲戒処分実施の根拠になり得ません。懲戒処分規程とリンクさせ、違反の程度に応じて妥当な懲戒処分を実施できる規定を設定し、懲戒権を会社が有する形式にします。

【規定例】

次の各号に該当する場合は情状に応じ、「けん責」「減給」「出勤停止」または「降格・降職」に処します。
ただし、行為の程度が著しく重い場合には、(2)に定める処分に処することがあります。

(1)けん責、減給および出勤停止、降格降職
  1. 正当な理由なく欠勤、遅刻を重ねたとき
  2. 服務規律に違反した場合であって、その事案が軽微なとき
(2)諭旨解雇、懲戒解雇以下の各号の一に該当する場合は、情状に応じ、諭旨解雇または懲戒解雇に処します。
  1. 正当な理由なく欠勤、遅刻、早退を繰り返し、勤務に誠意が認められないとき。
  2. 服務規律に違反した場合であって、改善が見込めないとき。

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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