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第11回 服務規律で職場風土を改善〜その1

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2011.01.31)

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服務規律で職場風土を改善 その1

経営者の方から数多くいただく労使トラブルのご相談で、最も事由が多いのが「問題社員の対応」です。

「会社から貸与した携帯電話の通信料がかなり高い」「業務中にツイッターや私用メールばかりしていて業務効率が悪い」「茶髪や無精ひげを注意しても、全く直らない」などこの類の事例には枚挙にいとまがありません。このような、経営者の意図しない問題社員の発生を未然防止する規程が「服務規律」です。今回は服務規律の作成方法を解説します。

服務規律は、会社内の秩序の維持、社風作り、そして会社側と社員側における働き方に対する認識の相違を是正することを目的として規定するものです。言い換えれば、社員として守るべき義務、やってはいけないことを定めたものです。従って、企業秩序を乱さないよう社員の行動を適切に管理できる規程を目指します。

服務規律の規定化にあたり、原則となる考え方として、事由は詳細に明記し、社員に周知させましょう。服務規程違反を根拠として懲戒処分を実施する場合、その事由の就業規則への明記、社員への周知がないと懲戒処分としての根拠がないとされる可能性があります。(参考:フジ興産事件、最高裁、H15.10.10 および労働契約法15条など)

記載内容として、大まかに以下のような分類を基準として検討します。

  • 出退社に関する規律(タイムカードの打刻、私物の持込、ダラダラ残業の禁止)
  • 遅刻、早退、欠勤、休暇の届出に関する規律(届出や報告方法)
  • 服装や身だしなみに関する規律(制服、名札、頭髪など)
  • 職務専念義務に関する規律(業務中は職務に専念することなど)
  • 会社の指示、命令への服従義務・安全衛生に関する規律(火気厳禁、喫煙場所の指定など)
  • 職場風紀維持に関する規律(喧嘩、賭博、政治や宗教活動の禁止、整理・整頓など)
  • 会社資産の保全に関する規律(消耗品の節約、物品の個人使用、会社電話の私的使用など)
  • 情報通信機器の使用に関する規律(私用メールのけん制、モニタリングなど)
  • 企業秘密情報の管理に関する規律(秘密情報の漏洩禁止など)

服務規律の中でも特に経営者の悩みが多い事項について、その記載方法をいくつかご紹介します。

始業・終業時刻の定義を明確に

一般的には出社や退社のタイミングでタイムカードや出勤簿を記録している場合が多いと思います。しかし、次のような職場の雰囲気が一般化したらどうでしょか。「残業代を少しでも多くもらいたいために、始業時刻よりも1時間早く出社してタイムカードを打刻。朝食を食べるなど特に業務をしていないが、会社に居たということで後日残業代を請求してくる」「始業時刻ちょうどに出社。タイムカードを打刻後、着替えなど業務準備を行い、実際の業務開始は20分後である」。

さまざまなケースがありますが、適切にルール化しなければ無駄な賃金コストの温床になってしまいます。また、コストの問題だけではなく、真面目に勤務している社員との不公平感が漂い、職場規律が乱れる可能性があります。

就業規則への記載としては、まず始業時刻と終業時刻の定義を明確化します。出社時刻は直ちに始業時刻ではありません。出社や退社時にタイムカードを打刻するのではなく、あくまで業務開始時、業務終了時にタイムカードを打刻する運用とします。

決められた始業時間には業務を開始し、終業時刻前に帰宅の身支度をせずきちんと業務をする規定するのです。

また、次のような労働判例が数多くあります。「タイムカードに打刻された時刻をもってその全てを労働時間として算定することはできない」(三好屋商店事件 S63.5.27 東京地裁 など)。つまり、会社の指示や命令、業務の必要性もなく、ただ在社している時間は労働時間ではなく、残業代など賃金は発生しないという考え方です。このような認識を社員に浸透させることも重要です。

仮に休職期間が満了し、復職できない場合の取り扱いとして、普通解雇とするのではなく、「自然退職」とします。
これにより1カ月分の解雇予告手当の支払い義務が生じることを免れることができます。

<規定例>

  • 始業時刻前に出勤し、始業時刻とともに業務を開始してください。
  • 始業時刻とは、始業準備を整えた上で実作業を開始する時刻をいい、終業時刻とは、実作業を終了する時刻をいいます。
  • 社員は、始業時刻後および終業時刻前に更衣等の準備をしてはなりません。
  • 出社・退社の際は、自らタイムカードを打刻しなければなりません。他人に依頼し、または他人の依頼を引き受けてはなりません。
  • 退社行為は、書類やパソコンなど所定の場所に整理格納した後に行ってください。また、理由なく居残りしてはいけません。
  • 労働時間とはあくまで会社が具体的指示、命令、その他要求する業務に従事している時間を言います。会社の許可なく個人的判断で行っている任意の業務、または任意で行う業務技術向上のため訓練などは、労働時間として認識しません。出勤簿やタイムカードは出社時間や退社時間の記録ですので、その全てを労働時間として会社は認識しません。

「所持品検査」を可能にするために

会社ではさまざまな機密情報が取り扱われています。会社にとっては、一部の悪意のある社員が顧客データを持ち出しインターネット上に流出、あるいは不要なデータを持ち込まれるリスクに直面しています。会社側がデータの盗用などを防止するため社員に対して所持品検査をする必要性が生じます。

ただ、所持品検査はプライバシー侵害の関係もあるので、無条件に全てが認められるわけではありません。

過去の判例では、

  1. 検査を実施する合理的理由の存在
  2. 就業規則その他根拠となる規定が存在すること
  3. 妥当な方法で実施すること

という要素が求められます。トラブルを起こさないためにも、所持品検査を実施することがある場合を社員に周知しましょう。

<規定例>

  • 会社は必要に応じて、社員の出社や退社の際、あるいは会社内において社員の所持品検査をすることができます。この場合、社員はこれに応じなければなりません。
  • 検査の結果、所持が不正であると認めた場合は保管または没収できることができる。

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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