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第09回 トラブルを未然防止する採用時のルール作り〜その2

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2011.01.17)

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トラブルを未然防止する採用時のルール作り〜その2

試用期間の設定方法を工夫する

試用期間は法律上設定する義務はありません。
ただ、新入社員の適性や能力は面接だけで推し量ることは一般的には困難です。法的にも、本採用後の正社員の場合よりも、広い範囲で解雇が認められやすいと言えます。その意味では、本採用可否の判断期間として、是非、「試用期間」を設定すべきです。

一般的な就業規則においては、最も多いのが3カ月という設定です。まれに2カ月という試用期間を設定している就業規則を見ます。おそらく、雇用保険や社会保険を試用期間中は未加入とする意図と考えられますが、実は誤った認識です。
試用期間の長短に関わらず、公的保険の加入義務は生じます。

<ポイント

試用期間中の「雇用保険」「社会保険」未加入は誤った認識。

試用期間の長短に関わらず、公的保険の加入義務は生じる。

新入社員の適性確認期間という意味では、試用期間はなるべく長期に設定すべきです。実は、試用期間の長さについて定めた法律は存在しません。過去の労働判例を見ると、およそ1年間の試用期間が有効と出ています。

よって試用期間の長さは「1年」あるいは現実的には「6カ月」程度など長期設定を推奨します。

<ポイント>

試用期間の長さを定めた法律はない。試用期間はなるべく長く設定すべし!

さらに、就業規則には「試用期間は場合によっては短縮、または延長することがある」と記載し、試用期間の長さを会社側の裁量によって自在に変更できるルールとしておきます。

能力の高い社員であれば、仮に6カ月の試用期間を3カ月に短縮して本採用することにより、当該社員の士気向上が期待できます。当初より3カ月と設定していた場合、この効果は期待できません。

逆に能力が低く、本採用は不可とする場合、試用期間中においても解雇予告手当は必要となります。

試用期間終了時に1カ月分の賃金を支払う、またはあらかじめ試用期間終了1カ月前に本採用不可を本人に伝えなければなりません。つまり、試用期間3カ月では、余計な解雇予告手当を支給したくないのであれば、試用期間2カ月の時点で本採用可否を判断しなければなりません。その点、試用期間6カ月を設定していれば、本採用可否の判断を5カ月まで見ることができます。

以下に試用期間についての就業規則の条文を例示します。

就業規則条文例<試用期間>

  1. 新たに採用した者については、採用の日から6カ月間を試用期間とします。会社は本採用までに、勤務態度・健康状態・職務への適性等・社員としての適格性を審査し、試用期間満了時までに本採用の可否を決定します。ただし、特殊な技能、技術または経験を有する者およびパートタイム等から正社員に登用した者には、試用期間を設けずまたは短縮することがあります。
  2. 前項の試用期間は会社が必要と認めた場合、必要な範囲で期間を定め、更に延長することがあります。

本採用の可否判断を有利にする方法

試用期間を満了すると、勤務態度や能力を考慮して本採用の可否を判断することとなります。正社員不適格として本採用を拒否することは企業側の判断で自由にできるものではなく、解雇の考え方同様、合理的理由がなければ不当解雇として訴訟リスクを負うことになります。

本採用拒否の理由として、協調性不足、健康問題、能力不足などありますが、客観的かつ合理的理由の証明が困難です。

例えば、能力不足という会社側の認識だけでは原則として本採用拒否はできません。どの程度、どのように能力が不足しているのか、会社はどれだけ教育機会を与えたか、などさまざまな客観的要素が求められます。

そこで、本採用可否の局面で、その判断基準の材料として使用したいのが、「ジョブカード」という職業能力を評価するシートです。

このジョブカードとは、本来、正社員経験が少ない方の職業能力やキャリア形成のための評価シートとしてハローワークなどで使用されているものです。言い方を変えれば、国が示した正社員として必要な勤務能力や態度の1つの基準です。

厚生労働省では、さまざまな職種や業種のジョブカードの評価シートを作成しています。検索エンジンで「ジョブカード評価シート」と検索するとホームページ上にて手軽にダウンロード出来ます。

<ポイント>

 本採用拒否の判断基準として、厚生労働省の「ジョブカード(評価シート)」を活用する。

ジョブカードに記載されている基準を目処として、入社時の段階で本採用基準について労使間で雇用契約書による合意があれば、もしその基準が未達成の場合、本採用拒否の有効性を主張する大きな材料になります。

また、就業規則においても、本採用取り消し事由を具体的に列挙することで、本採用拒否の有効性判断を会社側に有利にはたらくようにします。

就業規則条文例<本採用取り消し事由>

試用期間中の社員が次の各号のいずれかに該当し、正社員として会社が不適当であると認めた場合、採用を取り消し、本採用をしません。ただし、改善の余地があるなど、特に必要と認めた場合は、会社側の裁量により、試用期間を延長し、採用取り消しを留保することがあります。

  1. 正当な理由なく欠勤、遅刻、早退を繰り返し、出勤状況が悪く、勤務に誠意が認められないとき
  2. 会社からの指示に従わないなど職場における協調性に欠け、労働意欲が無いなど勤務態度が悪いとき
  3. 自筆の履歴書、経歴書、事前確認書などの記載事項に偽りがあったとき
  4. 会社が提出を求めている必要書類を提出しないとき5本人の申告に基づいて決定した会社が要求する勤務能力が不足しており、改善の見込みが乏しいとき、など

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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