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第08回 トラブルを未然防止する採用時のルール作り〜その1 

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2011.01.10)

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トラブルを未然防止する採用時のルール作り〜その1

「即戦力としてコストを掛けて中途採用した社員の能力が想定外に低い。 解雇は可能なのか」
「入社時の健康診断では分からなかったが、入社後うつ病が判明した」
など、労使間のトラブルが多い局面の1つとして入社時があげられます。お互いの信頼関係が希薄で、ささいなことでトラブルになりかねません。今回は、会社を守る採用時の運用や就業規則作成のポイントを解説します。

内定前の「事前確認書」で 問題社員の入社を未然防止

内定の法的な意義として、雇用契約が成立しているという考え方が労働判例では一般的です。
つまり、内定取消は解雇同様、適切な理由がなければ不当解雇として訴訟リスクを負います。
また、即戦力として内定を出した社員が、勤務態度が不良、心身の健康状態が業務に耐えられないなど、いわゆる問題社員化すると、その対応に大きな時間的コストを費やすことになりかねません。その意味では、厳格に採用選考し、内定を安易に出すことなく慎重にすべきです。
そこで、私共の保険サービスシステム株式会社では、内定を出す前の採用選考時に使用する書面として「内定前事前確認書」を企業にご提案しています。
この書面は、面接時において、業務に関連する質問を確実にヒアリングするための確認シートです。

例えば、以下のような事項を聞きます。

  • 過去1年以内に、心身に関し、医師の診察、投薬、検査などを受診したかどうか
  • 現在消費者金融から借入れがあるかどうか
  • 前職や前々職の退職理由は何か。また、前職の会社から退職証明の発行を依頼できるか
  • 残業が一定程度発生することもあるが、可能であるか
  • 自動車免許は停止になっていないか
  • 親族に反社会的勢力となる方がいないか

業種や会社規模によって質問事項は異なってきますが、健康状態や保有資格、過去の職歴、金融資産などを確認します。 基本的に会社には採用の自由があり、採用応募者について広く情報収集することが一般的に認められています。
その意味では、業務に関連する事項については丁寧に確認します。

ただし、業務に無関係な質問をすることは、職業安定法や男女雇用機会均等法で禁止されています。
本籍や出生地に関すること、宗教や思想、人生観に関すること、女性に対し結婚後の勤続を確認するなどです。

各質問項目に回答した後、書面の最後は次のような文章で締めくくります。
「万一、上記申告内容と異なる事実が発覚した場合や、会社に提供した履歴書等の記載内容に事実と異なる点が判明した場合、内定取消や解雇など如何なる処分も承諾いたします」

そして、就業規則においても以下のように内定取消事由を合理的な範囲内で設定し、内定取消の有効性を一層確固たるものにします。

<就業規則条文例 内定取消事由>

採用内定者が次各号のいずれかに該当する場合は、内定を取り消し、 採用しません。

  1. 卒業や資格、免許取得など採用の前提となる条件が達成されないとき
  2. 入社日までに健康状態が採用内定日より低下し、勤務に耐えられないと会社が判断したとき
  3. 自筆の履歴書、経歴書、内定前事前確認書などの記載事項に偽りがあったとき
  4. 採用内定後に犯罪や破廉恥行為等その他社会的に不名誉な行為を行ったとき、または採用選考時に、 過去の犯罪や破廉恥行為等を秘匿していたとき………など

内定前事前確認書の使用と、それに伴う就業規則対応により、問題社員の入社リスクを大きく軽減できます。

提出させたい入社時の書類

内定後、入社に際して一般的には次のような書類の提出を求めているのではないでしょうか。

  • 写真付履歴書 
  • 健康診断書 
  • 住民票記載事項証明書 
  • 年金手帳 
  • 源泉徴収票
  • 雇用保険被保険者証 
  • 所得税の扶養控除など申告書
  • 業務上必要な免許

要求する提出書類の趣旨として、社会保険の加入手続きや所得税算出、通勤手当の計算といった実務上の必要性によることが多いです。加えて次の書類も提出させてください。
それは「身元保証書」です。
身元保証書とは、社員が会社に損害を与えた際、社員本人に賠償責任能力が欠如している場合、身元保証人に損害賠償をさせることを目的としています。金銭や機密情報を扱う業務が増加していますので、必ず提出させるルールとすべきです。
もっとも、万一賠償事件が発生した場合、裁判においては社員の監督に関する使用者側の責任も問われるため、その全責任を身元保証人に追求することは困難ですが、身元保証書提出により事件の抑止効果は期待できます。

また、最近の労働環境の変化を勘案すると、身元保証書を取る意義として、次のような点も見逃せません。

  • 身元保証書を取り付けることにより、新入社員の社会的地位を確認する
  • 社内トラブルに保証人を巻き込みたくないという心理的抑制効果
  • メンタルヘルスの相談窓口や休職期間中の対応窓口

もう1つは「誓約書」です。
誓約書には経営理念など会社の考え方の理解と遵守、誠実勤務義務などを記載し、業務に対する姿勢を誓約させます。

さらに、この段階で退職時の責任も誓約させます。退職時の引継ぎ義務や競業避止義務など退職時の誓約書での対応も可能ですが、退職時は社員の士気も低下していることが多く、合意しないことも想定されるため、あらかじめ入社時に誓約を要求します。

誓約書の提出により、新入社員に対しプロとしての自覚を促し、また業務に対する士気の低い社員の入社を抑止することが期待できます。

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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