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第04回 残業代不払いを解消する賃金規程〜その3

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2010.12.06)

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残業代不払いを解消する賃金規程〜その3

労働基準監督署の臨検は、一般的に事前に日程を通知し、必要となる書類を準備しておくよう伝えてきます。

必ずと言っていいほど求められるのが就業規則、給与規程、そして賃金台帳です。

残業代の計算方法

その中で最初にチェックする項目は残業代の計算です。

電卓を片手に就業規則と賃金台帳を広げながら残業代の計算を手際よく行います。残業代が正しいかどうか、1円単位まで非常に細かくチェックします。普段から正しく計算しているという自信があっても、何か指摘を受けるのではないかという不安にかられます。

法定の残業代の計算方法は、毎月の賃金を1カ月平均の所定労働時間で除すことで労働時間1時間当たりの単価を計算します。
その単価に対して法定の割増率を乗ずることになります。

法定の割増賃金計算式

まずは分母となる月平均所定労働時間を計算します。
計算式はこのようになります。(下図参照)

月平均所定労働時間計算式

(1)の部分では年間の所定労働日数を求めており、(2)において1日の所定労働時間を乗ずることにより1年間の所定労働時間を計算することになります。その数を12で除すことで月平均の所定労働時間を算出します。

年間総労働日数は就業規則に記載のある休日より求めます。
例えば、土曜と日曜で年間104日、祝日で15日、その他年末年始などで6日と記載されている場合、年間で125日の休日となりますので、365日―125日で年間総労働日数は240日と計算されます。

次に1日の所定労働時間について就業規則より確認します。
始業9時、終業17時30分、休憩1時間ならば所定労働時間は7時間30分になります。

するとこの事例の年間の総所定労働時間は、年間総労働日数240日×7.5時間=1800時間となり、これを12カ月で除すと、月平均所定労働時間は150時間となります(下図参照)。

月平均所定労働時間は150時間となります

就業規則に基づいて計算した場合、分母となる月平均所定労働時間は「150時間」となるわけです。

所定労働時間の勘違い

しかし、経営者の方に「残業代の計算にあたり分母となる労働時間はどのように設定していますか」と質問しますと、「200時間」や「180時間」とのご回答が聞かれます。分母を過大に設定していますので、この段階で残業代不払いとなります。

法律上設定できる最大の所定月間労働時間は「173時間」です。
その根拠としては、下図のような計算から算出します。

法律上設定できる最大の所定月間労働時間

このことは、単に残業代の単価が上がるということだけに留まりません。
前記の通り、1年間を平均して最大月173時間労働させる契約(雇用契約)を締結することが可能です。にもかかわらず、就業規則上は月150時間の労働で、例えば月給30万円支払うという社員側に有利な雇用契約を、経営側が認識せずに結んでしまっているということが大きな問題なのです。月173時間という雇用契約であれば173時間までは1円も追加の賃金を支払う必要はありませんが、150時間という契約の場合、173時間まで労働したとすると23時間分の賃金を追加で支払わなくてはなりません。 23時間分といえば、単価2千円(30万円÷150時間)ですから実に4万6千円の支払いをする必要があるわけです。

このように社員に有利雇用契約を締結しておきながら、もしその支払いをしていないということであれば、余計な賃金・残業代不払いリスクを抱えてしまっているということになりかねないわけです。

次回は、月平均所定労働時間が現在150時間などになっている会社をスムーズに173時間設定する方法や残業代単価計算の分子となる賃金、割増率について説明します。

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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