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第01回 不払い多い「割増賃金」 「残業代」 

【納税通信2010年連載】もめない就業規則の作り方(2010.11.15)

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不払い多い「割増賃金」 「残業代」

運送業を営むA社は、昨今の景気情勢悪化の波を受け、利益が大幅に減少し続けています。社長のBさんは、業績回復のため、運転手に対し高いノルマを課し、毎日のように深夜まで運転業務を命じました。
このような職場環境に耐えられず社員1人が退職していきました。社長のBさんとしては、営業成績が高い社員ではなく、会社への貢献度が皆無である社員の退職であったため、安堵を感じていました。
数日後、退職した社員が突然社長Bさんのもとに訪ねて来ました。一緒にいるのは「労働基準監督官」です。監督官は社長Bさんに言いました。

「御社は元社員に対し残業代不払いです。適切に払ってください。計算では300万円です。」

監督官の回答に、事を大きくさせたくないという思いもあり、B社長は全く納得していませんでしたが、渋々支払いに応じました。今期の決算で何とか300万円の最終利益を見込んでいましたが、はかなくも元社員からの「残業代請求」により計画は崩れました。

今まで200社近いあらゆる業種の中小企業の就業規則作成の相談を受けておりますが、ここ数年の相談ペースは目を見張るものがあります。
また相談内容も、冒頭にあるような「割増賃金」の不払いを筆頭に、「不当解雇として労働組合の書記長と元社員がやって来た」「ひたすらにうつ病と主張する社員に困っている」「ブログに会社の誹謗中傷を書かれた」など高度化、多様化しています。
要因の1つには「インターネットの普及」が大きく関与しているものと考えます。検索エンジンので「不当解雇」や「割増賃金」などというキーワードで検索すると30万件近いページがヒットします。これだけの大量な情報を、社員は無料で入手し、「会社から上手にお金をとる方法」という知識を身に付けています。

増加する会社vs社員の構図

「個別労働関係紛争解決促進制度」の利用の増加を見ても、労使紛争が対岸の火事ではないことを物語っています。
社員個人と会社との労働紛争は、民事上の争いである場合は最終的に裁判で解決されるべきものです。しかし、現実的には裁判に浪費される時間とコストは社員と会社双方にとって大きな重荷となります。そこで、迅速かつ適正な問題の収拾を図るべくこの制度ができました。

この制度の利用が、毎年飛躍的に増加しています。平成22年度厚生労働省調査では、総合労働相談の件数は約114万件、そのうち、解雇など民事上の争いに関する個別労働紛争は約25万件となっており、前年と比較し、約5%近く増加しています(表1参照)。

【表1】平成22年5月22日厚生労働省「個別労働紛争解決制度施行状況」
 制度利用内容 件数 前年比(%)
1 総合労働相談
1,141,006 6.1% 増加
2 民事上の個別労働紛争
247,302 4.3% 増加
3 助言・指導申出受付
7,778 2.4% 増加
4 あっせん申請受理 7,821 7.5% 増加

また、労働基準監督署による残業代不払いの是正勧告も他人事ではありません。
厚生労働省が発表した資料よると、時間外労働に対する残業代が適正に支払われていない企業に対し、残業代不払いの是正を指導した結果、不払いとなっていた残業代の支払いが行われたもののうち、1事案当たりの支払額が100万円以上となったものの概要は以下(表2参照)の通りです。

【表2】1事案当たりの支払額が100万円以上 ※厚生労働省 報道発表資料より
年度
企業数件 対象労働者数人 支払金額(万円)  1人平均
支払金額(万円)
17年度
1,524 167,958 2,329,500 13.86
18年度
1,679 182,561 2,271,485 12.44
19年度
1,728 179,543 2,724,261 15.17
20年度
1,553 180,730 1,961,351 11.50
21年度 1,221 111,889 1,160,298 10.20

景気動向などの影響もあり賃金総額が伸びない中で多少減少傾向にありますが、1人当たり平均支払額は約10万円とまだ高水準です。社員20名であれば総額約200万円の現金を社員に残業代名目で支払わなければなりません。

さて、冒頭の運送業のA社ですが、残業代の支払いに関し、なぜ「残業代不払い」と指摘されてしまったのでしょうか。

次回以降ではその種明かしをするとともに、残業代対策や不良社員対応をはじめとする「会社を守る就業規則の作り方」のポイントを解説して行きます。

(つづく)

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【執筆者】
保険サービスシステム株式会社 
保険サービスシステム社会保険労務士法人

社会保険労務士  矢島 秀悟 (やじま ひでのり)

社会保険労務士 矢島 秀悟

「中小企業を守る」を使命として、民間保険・社会保険を一元化したコンサルティング、リスク管理型就業規則の作成、労働基準監督署の是正勧告対応など幅広く労務管理のアドバイスをしている。週間ダイヤモンド・オンラインや納税新聞への記事連載など活躍の場を広げている。

 

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